30複雑な心電図の解析編異所性収縮-3 AnswerⅠⅡⅢA1A2A3A4A5A6C心房期外収縮が多発し(A1~A6)、一部(A4、A5、A6)は連発しているようである()。なお、A3のQRS波が幅広く変形しているのは変行伝導と考えられる()。では、Cの部分()はどのように考えられるであろうか。P1P2P3P4P5P6P7P8P9R1R2R3R4R5R6R7R8P1P2P3P4P5P6P7P8P9R1R2R3R4R5R6R7R8洞結節心房房室結節心室ⅡⅢ前図のC部分の前後を拡大してみると、P波が9個、R波が8個確認される。このうち、P1、P3、P6は洞結節由来の洞収縮で、房室結節、心室へと正常に伝導し、R1、R3、R5を形成している正常心拍と判断される。それ以外のP波はいずれも異所性心房興奮で、P2は右脚の不応期に遭遇したため変行伝導をきたし、右脚ブロック型の幅広いQRS波(R2)を形成している。P4およびP5はともに心房期外収縮であるが、房室結節近傍の不応期に遭遇したため伝導が途絶し、心室興奮を伴わない非伝導性心房期外収縮になっているようである。なお、P5はP4よりも少し浅い部分で伝導が途絶したと考えれば、連続して非伝導性となった現象が説明可能であろう。次に、P4、P5と連続して心室興奮が脱落したためRR間隔が長くなり、心室からの補充収縮としてR4が出現したと考えてよさそうである。P7、P8、P9はいずれも心房期外収縮であるが、P8、P9に関しては房室結節の相対不応期の影響でPR間隔が延長しているようである。このような複雑な不整脈も、ラダーダイアグラムを書いてみると理解しやすい。
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