臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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20複雑な心電図の解析編波形異常-8 AnswerAAAABBBBBBBBV1V2V3V4V5V6ⅠⅡⅢaVRaVLaVF自動診断では『正常洞調律』と診断された心電図であるが、注意深く観察すると、A()、B()の2種類の心拍があることに気がつく。AとBの違いは微妙であるが、肢誘導においては、①AはBに比べてⅠ、Ⅱ、aVF誘導のR波がやや低いこと、②AはaVL誘導でR波がないこと、また胸部誘導においては、①V1誘導でAはR波があるがBはQS型であること、②V4~V6誘導においてBはAよりR波が高く、かつQRS波の立ち上がりが緩徐であること、などの所見が確認できる。これらの所見から、Aは房室伝導系、Bは副伝導路を伝導する間歇性WPW症候群と考えられる。本例では、後日電気生理検査を行い、右前中隔に副伝導路を有するB型WPW症候群と確定診断された。WPW症候群の心電図診断は、その特徴的所見から比較的容易であることが多い。しかし、なかには本例のように非典型的な場合もあるので、自動診断のみに頼らず、常に自分の眼で心電図をきめ細かく観察することが重要である。

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