臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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8複雑な心電図の解析編波形異常-2 AnswerⅠⅡⅢaVRaVLaVFV1V2V3V4V5V6緊急血液検査にて、血清K値は9.5Meq/Lと極端な高カリウム血症の状態であった。心拍数50/分程度の徐脈で、RR間隔は長短の二段脈を呈している()。P波は確認できず、基線が微妙に揺れていることから、基本リズムは心房細動の可能性が高いが、なぜ二段脈を呈しているのかは明らかでない。QRS幅は160msecと著明に拡大し、aVR、V1、V2誘導ではSTが上昇しT波が陰転している()。一方、Ⅰ、Ⅱ、V4~V6誘導ではST低下が著しい()。またV3、V4誘導などにみられるようにT波が尖鋭化し、QT/QTcも600msec前後に明らかに延長している()。いずれも熱中症による高カリウム血症に起因する心電図変化と考えられる。

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