第7章|臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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2重症不整脈に直結する波形異常編ST-T変化/TWA/TWVがみられる心電図ST-T変化/TWA/TWVとは?*心電図ST部分およびT波は左室心筋の興奮/消褪過程を表す重要な指標で、その変化は心筋に重大な病態が起こっていることを反映し、いずれもさまざまな重症不整脈に結び付く危険性を有している。*急激なST上昇は急性心筋梗塞あるいは異型狭心症による貫壁性心筋虚血を示す最も重要な所見で、いつ重症不整脈が起こってもおかしくない状態である。持続性のST上昇は心膜炎や早期再分極でもみられる。*一過性のST低下は非貫壁性心筋虚血を反映し、持続性のストレイン型ST低下は左室肥大に起因する。なお、ジギタリス中毒の際には特徴的な盆状(sagging)ST低下をきたす。*T波増高やテント状T波は高カリウム血症、平低T波は低カリウム血症の存在を示唆する。また、陰性T波は左室肥大や心筋虚血で現れるが、巨大陰性T波(giant negative T)は心内膜下梗塞や、たこつぼ症候群(心筋症)の可能性を示唆する。*T波高やT波形の交互変動(TWA)あるいは周期的変動(TWV)は再分極過程の異常を示し、心室頻拍/心室細動との関連性が指摘されている。

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