第6章|臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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2重症不整脈に直結する波形異常編QT延長/短縮がみられる心電図QT延長/短縮とは?*心電図のQT間隔は、心拍数の影響を受け生理的に変動することが知られているが、過度の延長あるいは過度の短縮は不整脈のリスクになる。*特にQT延長は、特殊な形態の多形性心室頻拍(torsade de pointes : TdP)に結びつくことから、それによる失神発作や突然死のリスク要因として重要視されている。*先天性QT延長症候群としてRomano-Ward症候群やJervell and Lange-Nielsen症候群が古くから知られているが、近年これらはいずれも遺伝子異常によって発生することがわかり、現在遺伝子異常のタイプによって、Romano-Ward症候群はLQT1からLQT15、Jervell and Lange-Nielsen症候群はJLN1およびJLN2が報告されている。*後天性のQT延長も極めて重要で、低K血症をはじめとする電解質異常、低体温、低栄養、心筋虚血、徐脈などの際、あるいはKチャネル遮断作用を有する各種の心臓薬、非心臓薬によっても発生する。*最近ではQT短縮症候群も報告されており、過度のQT短縮も心室細動発症のリスクと考えられている。

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