第3章|臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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2重症不整脈に直結する波形異常編J(ジェイ)波がみられる心電図J(ジェイ)波とは?*QRS終末部、ST部分への移行部であるJ点(ST junction)に現れる低周波の小さな波をJ波という。*S波がなく、R波の下降脚に肩を張り出すように見えるslur型(スラー型)と、S波の後のJ点が上に尖った波を形成するnotch型(ノッチ型)に分けられる。*以前はOsborn波(オズボーン波)と呼ばれていたが、最近はJ波と記述することが多い。J波を呈する疾患*しばしばJ波の後に軽度のST上昇を伴い、後述する早期再分極と区別が難しい場合もあることから、両者を区別せずJ波症候群(J wave syndrome)あるいは早期再分極症候群(early repolarizatin syndrome)と総称することも多い。*心電図でJ波を認める例で心室細動を起こす場合があることが報告され、器質的心疾患のない特発性心室細動との関連が注目されている。*J波の詳細な成因はよくわかっていないが、一過性外向き電流(Ito)が関与し、低体温の際などに出現することが知られている。

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