第2章|臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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2重症不整脈に直結する波形異常編Brugada(ブルガダ)signがみられる心電図Brugada signとは?*V1~V3誘導で上方凸+陰性T波のcoved型、ないし上方凹+陽性T波のsaddleback型のST上昇を示すものをBrugada sign(ブルガダ型心電図)という。Brugada signを呈する疾患*Brugada症候群は、器質的心疾患がないにもかかわらず心室細動を突発し、突然死することのある遺伝性疾患で、特徴的な心電図異常を示す。*QRS終末部は、J波ないしJ点の上昇を伴い、右脚ブロックに類似する。*典型的なcoved型をtype 1、0.2mV以上のST上昇を伴うsaddleback型をtype 2、ST上昇が0.2mV未満のsaddleback型をtype 3と呼ぶ。*第3肋間ないし第2肋間の記録や、Ⅰ群抗不整脈薬投与下で典型的なBrugada signが記録されることもある。*Brugada signの出現には日内・日差変動があり、さまざまなtypeが現れるが、coved型で心室細動の発生頻度が高い傾向がある。*東アジアの若年男性に好発し、突然死の家族歴を有する例が多く、SCN5A遺伝子変異の関与が示唆されている。

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