臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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δ(デルタ)波がみられる心電図δ波とは?*心房-心室間の副伝導路を介する心室早期興奮によって、QRS波立ち上がり部分に形成される緩徐な三角形の波をδ(デルタ)波と呼ぶ。δ波を呈する疾患*副伝導路としてはKent束のほかにMeheim線維、James束などが提唱されているが、δ波を示すのはKent束が代表的である。興奮がKent束を心房から心室へ順行性に伝導しδ波を呈するものを顕性WPW症候群、心室から心房への逆行性伝導のみでδ波が見られないものを潜在性WPW症候群、δ波が出没するものを間欠性WPW症候群と呼ぶ。*Kent束の付着部位が左心系にあるものをA型、右心系にあるものをB型と呼び、V1誘導でQSパターンを示すものを特にC型と呼ぶこともある。*Maheim線維が関与する非定形的WPW症候群もある。*正常伝導系と副伝導路を興奮が旋回する、房室回帰性頻拍をきたすことがある。*房室回帰性頻拍には、正常伝導系を順行するnarrow QRSの正方向性(orthodromic)頻拍と、副伝導路を順行するwide QRSの逆方向性(antidromic)頻拍がある。*顕性WPW症候群で心房細動を併発すると、極端なwide QRS頻拍(pseudo VT:偽性心室頻拍)をきたし、突然死する恐れもある。重症不整脈に直結する波形異常編4

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