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ICD・CRT-D植込み後の自動車の運転制限に関して

 心臓デバイス植込み後の自動車運転は道路交通法及び警察庁交通局運転免許課長通達によって規定されています。ペースメーカー(両心室ペーシング(CRT-P)を含む)植込み後の患者さんは原則許可であり、植込み後の意識消失やペーシングの不具合がなければ運転は通常通り運転が可能です(診断書の提出も必要ありません)。これに対して、植込み型除細動器(ICD)および両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後の患者さんは、植込みを受けた時点で自動車運転は原則禁止とされており、運転の許可および自動車運転免許の維持には日本不整脈心電学会あるいは日本心不全学会が主催するICD研修を履修した医師により記載された診断書を警察署へ提出することが必要で、最終的に公安委員会および警察当局が運転の可否を判断することとなります。法律上免許は6ヶ月を超えない範囲で保留または停止を判断することが定められているため、「運転を控えるべきである」と判断される場合には6ヶ月後に再評価(臨時適性検査)の診断書を提出し、保留期間の延長を行わなければ免許は取り消しとなります。また、運転可能と判断された場合でも6ヶ月毎の再審査の診断書提出が必要とされます。

 実際のICD/CRT-D植込み患者の運転可否に関する基準は、日本不整脈心電学会・日本循環器学会・日本胸部外科学会の合同検討委員会により定められた具体的運用指針により以下のように示されております。

 初回植込みに関しては、植込み前に心室頻拍・心室細動やそれに伴う意識消失の既往がある患者さんに対する植込み(いわゆる二次予防目的の植込み)の場合、6ヶ月間意識消失や作動がなければ運転許可となります。一方で植込み前に心室頻拍・心室細動やそれによる意識消失の既往のない予防的植込み(いわゆる一次予防目的の植込み)患者さんの場合、30日間意識消失や作動がなければ運転可能と定められています。ここで言う作動とは、電気ショックを伴う除細動作動があった場合だけでなく、自覚症状を伴わない抗頻拍ペーシングであっても作動に含まれ、さらに心室細動や心室頻拍などの致死性不整脈に対する適切作動だけでなく、心房細動などの上室性頻拍等に対する不適切作動も含まれます。

 電池消耗や故障に伴うジェネレータ本体の交換に関しては、交換の時点で運転が許可されていた方の場合7日間、リードの交換や追加を行った場合には30日間観察の上作動がなければ運転が許可されます。

 一方、意識消失もしくは作動があった場合には作動から12ヶ月間は運転停止となります。従いまして、作動後の観察期間中に再度作動があれば、運転許可に必要な観察期間は最後の作動から12ヶ月間に延長されます。

 また、中型免許(8t限定を除く)・大型免許や、旅客を輸送する第二種免許などの職業運転は、意識消失発作やICDのショック治療が重大な事故に結びつく可能性があるため許可されておりません。

必要観察期間
二次予防目的新規植込み 6ヶ月間
一次予防目的新規植込み 30日間
ICD作動後
(ショック・抗頻拍ペーシングを含む)
12ヶ月間
電池交換後 7日間
リード追加・交換後 30日間

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よくある質問

Q 医師からICD植込みを受けるように勧められました。ICDを植込まなければ運転しても良いのですか?
A 道路交通法により「発作によって意識障害または運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの」は免許を与えず、または6ヶ月を越えない範囲内において免許を保留することができる、と定められております。従いまして、過去に意識消失を起こしたことがあり二次予防目的の植込みを勧められた場合には、ICDを植込まなくても運転を控える必要があります。同様に意識消失の既往がなくてもその病状から医師により運転を控えるように指示された場合には運転できません。一方で、意識消失の既往がなく、医師から運転をしてもよいと指示されたものに対しては運転免許の制限は行われません。
Q 診断書はどこに提出したらよいのですか?
A 診断書は原則的に①警察署もしくは運転免許センターから診断書様式を取り寄せ、②主治医(継続的に診察している医師)であり学会のICD研修を履修した医師による記載を受け、③警察署もしくは運転免許センターに提出することが必要です。具体的な取り寄せ先および提出先は地域により異なりますので、最寄りの運転免許センターの適性相談室にお問い合わせ下さい。
Q ICDを植込みましたが警察から何も言ってこないので運転しても良いのでしょうか?
A 道路交通法の実際の運用は患者さんの自己申告を出発点としており、医師により運転してはいけないと指導された場合には患者さんは指導に従うと共に必ず自己申告する必要があります。その上で上記の基準に照らして運転可能と判断される場合には医師の診断書と当局の判断という手続きを経て初めて運転が許可されます。運転が許可されない状況を隠して運転を続け事故を起こした場合、重い責任が問われる可能性があります。