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正常な心臓の構造と心臓の働き

東京医科歯科大学医学部附属病院不整脈センター 笹野 哲郎

心臓の構造

心臓は胸の中央やや左側にあり、全体が筋肉でできています。心臓は規則的に収縮することにより、全身に血液を送り出すという働きがあります。送られた血液が酸素と栄養を全身に送り出し、さらに全身の臓器から排出された二酸化炭素と老廃物は血液によって再び心臓に戻されます。二酸化炭素は肺へ、老廃物は腎臓や肝臓へと再び送られて処理されます。血液が有効に循環できないと体は生きていくことができないため、心臓は血液を送り出すポンプとして極めて大事な働きを担っています。

心臓は4つの部屋に分けられます(図1)。上部にあるものを心房、下部にあるものを心室と呼び、それぞれ左右に分かれているため、右心房・右心室・左心房・左心室と呼びます。右心室は肺動脈で肺につながり、左心室は大動脈から全身につながっています。血液は肺で二酸化炭素を出し、新たに酸素を取り込みます。

右心房・右心室の血液は使用済みのもの、左心房・左心室の血液は新しいもの、ということになります。左右の心房・心室は筋肉と線維で完全に分けられていて、なかの血液が混じり合うことはありません。また、この血液の流れは一方通行でなければならず、心房と心室の間を血液が行ったり来たりしていると意味がありません。このために心臓の各部屋には弁がついていて、血液が逆流しないようになっています。

図1 心臓の構造

図1 心臓の構造

心臓の動き

心臓は一つの臓器ですが、全体が同時に動いているわけではなく、心房と心室は0.12~0.20秒程度の時間差をおいて収縮しています。まず心房が血液を心室に送り込み、心室に充分血液が充満したところで、心室が収縮して全身および肺に血液を送り出します。心房と心室が協調して収縮(興奮)することで、血液を効率よく全身に送り出しているのです(図2)。この協調が失われると、それだけで心臓の働きは20%ほど減少するといわれています。
心臓の働きを評価する検査法で最も一般的なのは心電図ですが、この心房と心室の興奮は、心電図の波形にも現れます。心電図では、心房収縮による小さい波が出現し(P波と呼びます)、その後に心室収縮による大きな波(QRS波と呼びます)が見られます。

図2 心臓の収縮

図2 心臓の収縮

刺激伝導系

 心臓が血液を送り出すためには、左右の心房・心室がテンポ良く協調して興奮・収縮することが重要です。そのために心臓に存在するのが刺激伝導系と呼ばれるシステムです。
心臓の細胞は大きく分けて3種類あります。収縮することによりポンプとして働く心筋細胞、心筋細胞を興奮させるための刺激を伝える刺激伝導系の細胞、その他の細胞です。心臓のほとんどは心筋細胞で出来ています。心筋細胞は、基本的には自ら興奮することはなく、興奮するための刺激(電気刺激)がおきて初めて収縮運動を行います。刺激伝導系は、心筋細胞に収縮の指令を送るためにあります(図3)。

図3 刺激伝導系

図3 刺激伝導系

 刺激伝導系の最上流、最初にあるのが洞結節です。洞結節は右心房にあり、自律神経の作用を受けて心拍数を調節しながら心拍の指令を出しているため、ペースメーカと呼ばれます。運動や緊張したときに脈が速く、就寝時に遅くなるのは洞結節の働きによるものです。洞結節で生じた刺激は心房に伝わり、右心房→左心房と興奮させた後、房室結節に到達します。房室結節の伝導速度(興奮が伝わるスピード)は遅く、この部分が心房と心室の興奮の時間差を調節します。房室結節を出た刺激は、今度は心室全体を急速に興奮させるために、His束から右脚・左脚と呼ばれる、伝導速度の速い、いわば高速道路のような専用の経路を通って心室全体に広がります。刺激伝導系の刺激は短時間で心臓全体の心筋細胞に伝えられ、心筋が興奮・収縮します。
心筋細胞は、一度興奮するとしばらくは新たな刺激がきても興奮しない状態(不応期)となるため、全ての心筋細胞が興奮を終えると心臓は一旦停止します。その後、新たな心拍の指令が洞結節から生じ、次の興奮が始まるのです。
なお、洞結節になにか問題がおこり、心拍の指令が出なくなった場合には、下流にある房室結節などが予備のペースメーカとして働いて心臓が止まるのを防いでいます。

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