日本不整脈心電学会

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2018年1月

髙橋尚彦(大分大学医学部 循環器内科・臨床検査診断学講座)

Q33歳男性。高校生のときから健康診断の心電図で「完全右脚ブロック」を指摘されている。夕食後,突然意識消失した。妻が救急車を要請、AEDが心室細動を検知し作動した。来院時心電図を示す。正しい所見はどれか。2つ選べ。
a. 完全右脚ブロックである。
b. 急性心筋梗塞(下壁)である。
c. 左軸偏位を呈している。
d. V2誘導は,coved型ST上昇を呈している。
e. 下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)に早期再分極を認める。
回答と解説はこちらから   

【解答】

d, e

【解説】

主要心電図所見 1) Brugada症候群タイプ1
2) 下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)における早期再分極所見

V2誘導はrSR’型であり,一見,完全右脚ブロックに見える。しかし真の右脚ブロックであれば,左側胸部誘導(V4~V6)で右室伝導遅延を反映する幅広いS波が認められる。V2誘導は明らかなST上昇と引き続く陰性T波であり,心室細動をきたしたことからBrugada症候群タイプ1と診断できる。また下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)で,明らかなJ点の上昇を認める(早期再分極所見)。Kamakuraらは,このような下側壁誘導の早期再分極所見は,Brugada症候群において心室細動をきたすハイリスク所見であることを報告している(Kamakura S, et al: Circ Arrhythm Electrophysiol ,2009 ;2(5):495~503)

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