ホルター心電図の活用:自律神経活動の評価を含めて

演 者 中川 幹子 大分大学 医学教育センター

 最近のホルター心電図は標準的な心電図解析以外に、心拍変動、QT時間の自動測定、T波交互脈(T-wave alternans)、心室遅延電位(Late potential)の検出、Heart rate turbulence(HRT)の評価など高度な心電情報の解析が可能である。
 心拍変動解析は24時間すべての洞調律のRR間隔を解析することにより心臓自律神経機能を評価する方法である。特に副交感神経機能の低下は心臓突然死と密接な関係があると報告されている。
 Heart rate turbulence(HRT)は、ホルター心電図に記録された代償性休止期を伴う心室期外収縮(PVC)の前後の心拍を測定し比較する解析法であり、心臓自律神経機能の評価に有用と考えられている。HRTは急性心筋梗塞患者における死亡や心臓突然死の強力な予後予測因子であることが報告されている。
 これらの特殊な機能を活用することにより、ホルター心電図は心臓突然死リスクの層別化において重要なツールとなっている。