ブックタイトル :臨床心電図解析の実際 −どこをどうみるか− 重症不整脈に直結する波形異常編

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臨床心電図解析の実際

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はじめに

 数年前、さまざまな不整脈心電図の解析の仕方をまとめ、日本不整脈心電学会のホームページ上に電子版として公開した(http://new.jhrs.or.jp/contents_jse/actibook/)が、不整脈を正確に解析・診断し、重症度を判断してその治療方針を決定するのは、なかなか骨が折れることである。ましてこれらの不整脈の多くは,ほかのさまざまな疾患と異なり、しばしばごく短時間一過性にしか起こらず、動悸などの自覚症状から不整脈を強く疑ったとしても、それが心電図に記録されない限り、正しい診断を下すことは不可能である。そのため、一過性に出現する不整脈を記録することを目的に、ホルター心電図やイベントレコーダーなどが臨床の現場で駆使されているが、目的の不整脈を確実にとらえるのには多大なエネルギーを必要とする。
 しかし、なかには重大な不整脈を起こす例において、現在は洞調律で不整脈が現れていなくても、ある特徴をもった波形を示したり、不整脈が発生する前兆として何らかの波形変化を起こしたりする場合がある。もし、これらの心電図変化や異常所見が確認できれば、次に起こりうる不整脈を予測することができるかもしれない。
 本シリーズでは、不整脈そのものではなく重症不整脈に結び付く可能性のある波形異常・波形変化を取り上げ、それぞれの心電図のどこをどうみたらよいのか、典型的なものから稀なものまでさまざまな例について具体的に解説する。

平成30年 7月
日本医科大学 名誉教授 / 国際医療福祉大学 教授
加藤貴雄

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