心電図クイズ

〜 2011年03月 第2回 〜櫻田 春水(都立広尾病院循環器科)

Q.55歳、男性。特に自覚症状はないが、健康診断で心電図異常を指摘されたため受診した。心電図所見で誤りはどれか?


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  • a. 洞調律
  • b. 洞停止
  • c. 左軸偏位
  • d. 右脚ブロック
  • e. 上室期外収縮
解答と解説(クリックで開きます)

【解答】
b. 洞停止

【解説】
主要心電図所見:
1) 非伝導性上室期外収縮
2) 心拍依存性右脚ブロック

心拍数75bpmの洞調律で、電気軸は左軸偏位を呈している。QRS幅は最初の3拍では0.16secと延長し、V1、V2誘導のRSR波形、および1誘導、V6誘導での深く広いS波は右室が左室に遅れて伝導興奮していることを示しており、完全右脚ブロックの所見である。3拍目と4拍目のR-R間隔の延長は一見洞停止様にみえるが、3拍目のT波の形状に注目すると、特にⅡ、Ⅲ、aVF誘導で明瞭なP波が存在し、引き続くQRS波形を欠いていることがわかる。房室伝導を伴わない上室期外収縮、すなわち非伝導性上室期外収縮と診断できる。4拍目のQRS波形のみ幅の狭いQRS波形となっているが、次の心拍からは再び右脚ブロックを呈している。心拍依存性右脚ブロックの所見である。本例は、右脚の不応期が延長しているために、高い心拍数では右脚ブロックとなり、低い心拍数では右脚も不応期から脱し正常伝導を呈していることが考えられる。したがって設問のなかで誤っている所見は洞停止となる。