〜 2010年12月 第2回 〜庭野慎一(北里大学医学部循環器内科学)
Q.72歳の男性。発作性心房細動の診断で、3ヶ月前から抗凝固療法と抗不整脈薬の投与を受けている。夕食後、家族の前で失神したため救急受診した。来院時、意識は清明。来院時の心電図より、失神の原因として可能性が高いのはどれか。
Q.72歳の男性。発作性心房細動の診断で、3ヶ月前から抗凝固療法と抗不整脈薬の投与を受けている。夕食後、家族の前で失神したため救急受診した。来院時、意識は清明。来院時の心電図より、失神の原因として可能性が高いのはどれか。
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解説
【主要心電図所見】
1) 洞調律、心拍数70/分、PR間隔0.20秒で正常
2) 軽度の左軸偏位の他、QRS波は正常
3) QT間隔0.60秒、QTc間隔0.65秒と著明なQT延長を認める
【心電図診断】
b. 心室頻拍
【解説】
QT間隔は、先天性QT延長症候群の他、低電解質、抗うつ薬、抗不整脈薬、脳傷害など二次性の原因で生ずることがある、本例では、抗不整脈薬の内服によりQTが延長し、torsade de pointes(多形性心室頻拍)をきたしたものと推定される。他の病態を直接的に示唆する心電図所見は認められない。本例では、Kチャネル遮断作用を有する抗不整脈薬(Ⅲ群抗不整脈薬)を内服していたため、ただちに抗不整脈薬を中止したところQT間隔は3日で正常化した。