心電図クイズ

〜 2010年12月 第1回 〜庭野慎一(北里大学医学部循環器内科学)

Q.48歳の男性。歩行中に突然動悸と胸部不快感が出現し、安静にしても軽快しないため来院した。来院時の心電図を示す。診断はどれか。


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  • a. 洞頻脈
  • b. 心室頻拍
  • c. 心房粗動
  • d. 心房細動
  • e. 房室回帰頻拍(WPW症候群)
解答と解説(クリックで開きます)

解説
【主要心電図所見】
1) 正常QRS幅・RR間隔整の頻拍(心拍数140/分)
2) Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導の基線に鋸歯状の振れ=粗動波
3) V5-V6誘導のT波平低
【心電図診断】
c. 発作性心房粗動
【解説】
発作性の頻拍はしばしば胸部不快など、動悸以外の症候を伴う。心電図上、正常QRS幅+RR間隔整の頻拍を呈しており、洞頻拍、発作性上室頻拍、心房粗動の固定比伝導等を鑑別する必要がある。本例では、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導の基線に鋸歯状の粗動波が認められ、通常型の心房粗動と診断できる。なお、V1-V2誘導のST上昇やV5-V6誘導のT平低は非特異的変化の範囲内と考えられる。