〜 2010年11月 第1回 〜村川裕二(帝京大学医学部附属溝の口病院第四内科)
Q.62歳の女性。降圧治療中、下肢浮腫が出現したため、フロセミド40mg/日が追加された。その2週間後から結滞を自覚するようになった。所見は何か。
Q.62歳の女性。降圧治療中、下肢浮腫が出現したため、フロセミド40mg/日が追加された。その2週間後から結滞を自覚するようになった。所見は何か。
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解説
【主要心電図所見】
1) QRS幅は正常の洞調律
2) 心室期外収縮を認める。二段脈。II, III, aVF誘導で上向きだが、健常心でよく認める流出路起源の心室期外収縮とはQRS波形が異なっている。
3) QT時間は測定できない。
【心電図診断】
a) 洞調律 e) 心室期外収縮
【解説】
ループ利尿薬の服用が契機となって心室期外収縮が頻発するようになった。腎機能が正常ならフロセミド40mg/日は低カリウム血症を起こすに十分である。この心電図を記録したときのカリウム濃度は1.8mEq/L。心室期外収縮が頻発しているため、QT時間はわからないが、後天性QT延長症候群の可能性が高い。洞収縮のQRS幅は正常である。陳旧性心筋梗塞らしいQ波や陰性T波は認めない。低カリウム血症の不整脈として著しいQT延長やtorsades de pointesが提示されることがあるが、重篤なイベントに遭遇する前に低カリウム血症に対処することが望まれる。