心電図クイズ

〜 2010年7月 第2回 〜中里 祐二(順天堂大学浦安病院循環器内科)

Q.60歳の男性。1週間前から感冒にり患し、今朝から胸痛を認めたため来院。
高血圧症に対し加療中である。
心電図診断はどれか、該当するものを全て選びなさい。


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  • a. 異型狭心症
  • b. 急性心膜炎
  • c. 急性下壁心筋梗塞
  • d. 心房細動
  • e. Brugada症候群
解答と解説(クリックで開きます)

【解答】
b. 急性心膜炎
d. 心房細動

【解説】
主要心電図所見
  • 1)不規則なRR間隔
  • 2)P波消失、f波の存在
  • 3)ST上昇(aVRを除く全誘導)

心電図ではRR間隔が不規則で、f波の存在から心房細動であることがわかる。またaVRを除く肢誘導および胸部誘導のほとんどの誘導にわたりST上昇が認められる。急性心筋梗塞でみられる対側のST下降(reciprocal change)は認められない。急性心膜炎では本例のように一過性の心房細動など上室性不整脈を合併することもある。時間的経過でST上昇はいったん基線に戻り、その後T波の陰転化を経て正常化する。