〜 2010年7月 第1回 〜中里 祐二(順天堂大学浦安病院循環器内科)
Q.40歳の男性。2週間前から下肢の浮腫があった。 自転車に乗ろうとして突然意識を消失し、救急外来に搬送された。 心電図診断はどれか、該当するものを全て選びなさい。
Q.40歳の男性。2週間前から下肢の浮腫があった。
自転車に乗ろうとして突然意識を消失し、救急外来に搬送された。
心電図診断はどれか、該当するものを全て選びなさい。
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【解答】
d. 急性肺塞栓症
e. 洞性頻脈
【解説】
主要心電図所見
心電図では洞性頻脈であり第I誘導のS波、第Ⅲ誘導のQ波とT波陰転化が認められる。この所見は「S1Q3(T3)」と呼ばれ急性肺塞栓症に特徴的とされる。また第Ⅱ誘導、aVR誘導でも同様の所見がみられるが、Q波の幅は0.04秒と狭い。その他の心電図所見として、右心系の負荷を反映し不完全右脚ブロック、右軸変位、V1-4 での非特異的ST変化あるいはT波陰転化などが認められるが必ずしも特異的ではない。下肢浮腫は深部静脈血栓症の存在を示唆し、肺塞栓症の原因であることを強く疑わせる。