〜 2010年6月 第1回 〜山科 章(東京医科大学第二内科)
Q.23歳の女性。入社健診での心電図記録。自覚症状に特記すべきものはない。 心電図診断はどれか。該当するものを全て選びなさい。
正常洞調律であれば、洞結節が右房外側上位にあり、そこから心房興奮が始まるため、P波はⅡ、aVF、左側胸部誘導(V5)で陽性となる。V1誘導では初期成分(右房興奮)が陽性で後期成分(左房成分)が陰性となる。また、P波の形は一定で、PP間隔もほぼ一定の間隔で出現する。異所性心房調律ではその刺激発生部位により洞調律時のP波とくらべて変化する。本症例は、解説の所見のごとく、下壁の誘導で下向きであり、心房興奮のベクトルが全く逆方向となっていることが分かる。したがって、房室結節に近い下位右房あたりを起源として心房が興奮していることが推定される。多くは洞結節との間にペースメーカ移動があり、機能的なものである。自律神経の影響が考えられ徐脈の際に出現し、運動後に心電図をとると正常洞調律波形を見ることが多く、治療の必要はない。
Q.23歳の女性。入社健診での心電図記録。自覚症状に特記すべきものはない。
心電図診断はどれか。該当するものを全て選びなさい。
心電図を見る(別ウィンドウ)
【解答】
b. 異所性心房調律
【解説】
主要心電図所見
正常洞調律であれば、洞結節が右房外側上位にあり、そこから心房興奮が始まるため、P波はⅡ、aVF、左側胸部誘導(V5)で陽性となる。V1誘導では初期成分(右房興奮)が陽性で後期成分(左房成分)が陰性となる。また、P波の形は一定で、PP間隔もほぼ一定の間隔で出現する。異所性心房調律ではその刺激発生部位により洞調律時のP波とくらべて変化する。本症例は、解説の所見のごとく、下壁の誘導で下向きであり、心房興奮のベクトルが全く逆方向となっていることが分かる。したがって、房室結節に近い下位右房あたりを起源として心房が興奮していることが推定される。多くは洞結節との間にペースメーカ移動があり、機能的なものである。自律神経の影響が考えられ徐脈の際に出現し、運動後に心電図をとると正常洞調律波形を見ることが多く、治療の必要はない。