〜 2010年5月 第1回 〜櫻田 春水(都立広尾病院循環器科)
Q.49歳、男性。特に自覚症状はないが健診で心電図異常を指摘されたため受診した。12誘導心電図を示す。診断は?
QRS波形からはⅠ、aVL誘導で陰性棘が大きく、左側胸部誘導でr波が減高しているため陳旧性側壁心筋梗塞様にみえるが、P波に注目することにより診断が可能となる。正常の心房興奮は前左下方へ向かうため、P波はⅠ、aVL誘導で陽性、aVR誘導で陰性となる。本症例ではⅠ、aVL誘導で陰性、aVR誘導で陽性と逆である。この所見では上肢電極の左右付け間違いと右胸心の鑑別が必要となる。胸部誘導をみるとV1からV6へ類似したQRS波で振幅が著明に減高しており右胸心と診断される。肢誘導のつけ間違えであれば胸部誘導は正常となる。異所性心房調律でも洞調律と異なるP波が出現するが、QRS波形は正常である。右室肥大ではV1〜V2で高いR波がみられるが、多くは肺性P波を伴い、ⅠaVLでの陰性P波はみられない。
Q.49歳、男性。特に自覚症状はないが健診で心電図異常を指摘されたため受診した。12誘導心電図を示す。診断は?
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【解答】
a. 右胸心
【解説】
主要心電図所見
QRS波形からはⅠ、aVL誘導で陰性棘が大きく、左側胸部誘導でr波が減高しているため陳旧性側壁心筋梗塞様にみえるが、P波に注目することにより診断が可能となる。正常の心房興奮は前左下方へ向かうため、P波はⅠ、aVL誘導で陽性、aVR誘導で陰性となる。本症例ではⅠ、aVL誘導で陰性、aVR誘導で陽性と逆である。この所見では上肢電極の左右付け間違いと右胸心の鑑別が必要となる。胸部誘導をみるとV1からV6へ類似したQRS波で振幅が著明に減高しており右胸心と診断される。肢誘導のつけ間違えであれば胸部誘導は正常となる。異所性心房調律でも洞調律と異なるP波が出現するが、QRS波形は正常である。右室肥大ではV1〜V2で高いR波がみられるが、多くは肺性P波を伴い、ⅠaVLでの陰性P波はみられない。