心電図クイズ

〜 2010年4月 第2回 〜草間 芳樹(日本医科大学多摩永山病院循環器内科)

Q.78歳の女性。30分ほど持続する胸部圧迫感と呼吸困難のため来院した。
心エコー図検査では心尖部の奇異性収縮、心基部の過収縮を認めた。
来院時の心電図から、本例の診断はどれか。


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  • a. 異型狭心症
  • b. 急性心膜炎
  • c. 急性心筋炎
  • d. 急性心筋梗塞
  • e. たこつぼ型心筋症
解答と解説(クリックで開きます)

【解答】
e. たこつぼ型心筋症

【解説】
心電図の主要所見
  • 1)Ⅱ、Ⅲ、aVF、V3〜5のST上昇
  • 2)aVLのST下降、陰性T波
  • 3)QT延長(QTc 476 msec)
  • 4)Ⅱ、Ⅲ、aVFのP波増高、V1の P-terminal force増大

Ⅱ、Ⅲ、aVF、V3〜5でST上昇を認め、急性心筋梗塞と類似した心電図所見である。心エコー図検査では心尖部の奇異性収縮、心基部の過収縮を認め、たこつぼ型心筋症が疑われる。心臓カテーテル検査では冠動脈狭窄、閉塞はなく、左室造影で心尖部の奇異性収縮、心基部の過収縮を認めた。たこつぼ型心筋症は、急性心筋梗塞と類似した臨床症状、心電図所見を示す。