〜 2010年4月 第1回 〜草間 芳樹(日本医科大学多摩永山病院循環器内科)
Q.52歳の男性。3週間程前から、早朝4〜5時頃の安静時に2〜3分持続する前胸部痛が出現するようになった。2日前より胸痛の持続時間が増加したため来院した。胸痛発作時と非発作時の12誘導心電図を示す。 心電図所見から推定される心筋虚血の領域はどれか、該当するものを全て選びなさい。
この心電図はST偏位から心筋虚血の部位診断を問うものである。 病歴および心電図所見からこの例は異型狭心症と診断される。 Ⅱ、Ⅲ、aVFでのST上昇は下壁、Ⅰ、V6でのST上昇は側壁の貫壁性心筋虚血を示す。V1〜3で認められるST下降の偏位度は、下壁誘導でみられるST上昇の偏位度に比べ高度である。V1〜3におけるST下降は、下壁誘導ST上昇の対側性ST偏位のみでは説明し難く、後壁の貫壁性心筋を示す所見と考えられる。この例の冠動脈造影所見は、左冠動脈優位であり、後側壁および下壁を灌流する回旋枝が認められた。 さらに回旋枝の冠動脈攣縮が認められた。
Q.52歳の男性。3週間程前から、早朝4〜5時頃の安静時に2〜3分持続する前胸部痛が出現するようになった。2日前より胸痛の持続時間が増加したため来院した。胸痛発作時と非発作時の12誘導心電図を示す。
心電図所見から推定される心筋虚血の領域はどれか、該当するものを全て選びなさい。
心電図を見る(別ウィンドウ)
【解答】
b. 下壁
c. 側壁
d. 後壁
【解説】
胸痛発作時心電図の主要所見
この心電図はST偏位から心筋虚血の部位診断を問うものである。
病歴および心電図所見からこの例は異型狭心症と診断される。
Ⅱ、Ⅲ、aVFでのST上昇は下壁、Ⅰ、V6でのST上昇は側壁の貫壁性心筋虚血を示す。V1〜3で認められるST下降の偏位度は、下壁誘導でみられるST上昇の偏位度に比べ高度である。V1〜3におけるST下降は、下壁誘導ST上昇の対側性ST偏位のみでは説明し難く、後壁の貫壁性心筋を示す所見と考えられる。この例の冠動脈造影所見は、左冠動脈優位であり、後側壁および下壁を灌流する回旋枝が認められた。
さらに回旋枝の冠動脈攣縮が認められた。