〜 2010年3月 第1回 〜山下武志(財団法人心臓血管研究所)
Q.38歳、女性。疲労時の胸痛、息切れを主訴に受診。胸痛、息切れは1時間以上持続するという。胸痛に対してニトログリセリンが著効するという。診断は何か。 該当するものをすべて選べ。
心電図では、PQ時間は0.18秒、軸はほぼ90度、不完全右脚ブロックを呈する。無症状の場合、この年齢ではあらためて指摘できるような心電図異常とはいえないかもしれない。しかし、ニトログリセリンが著効する胸痛という症状は病的なものを考えさせる。
Q.38歳、女性。疲労時の胸痛、息切れを主訴に受診。胸痛、息切れは1時間以上持続するという。胸痛に対してニトログリセリンが著効するという。診断は何か。
心電図を見る(別ウィンドウ)該当するものをすべて選べ。
【解答】
c. 不完全右脚ブロック
e. 心房中隔欠損症
【解説】
主要心電図所見
心電図では、PQ時間は0.18秒、軸はほぼ90度、不完全右脚ブロックを呈する。無症状の場合、この年齢ではあらためて指摘できるような心電図異常とはいえないかもしれない。しかし、ニトログリセリンが著効する胸痛という症状は病的なものを考えさせる。
一方で、患者の年齢・性別、症状の持続時間から心筋虚血以外の疾病を考慮した時、この心電図所見は右室負荷を示唆する所見と考えるべきである。心臓超音波検査を施行し、心房中隔欠損症と診断された(Qp/Qs=3.7)。ニトログリセリンは心不全に伴う症状に著効したと思われる。V5,6誘導のS波がもっと深い場合には心電図所見のみで右室負荷と診断できるが、一般的に右室負荷が著しくない場合は心電図だけでは診断できないことも多い。