心電図クイズ

〜 2010年2月 第2回 〜庭野慎一(北里大学医学部循環器内科)

Q.48歳男性。以前より動悸発作を自覚することがあったが、息をこらえてすぐに停止していた。最近、胸部不快を伴う動悸発作の頻度が増加したため病院を受診した。来院時の12誘導心電図を示す。
認められる所見はどれか。

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  • a. 異所性心房調律
  • b. 前壁誘導の異常Q波
  • c. 右前壁の心室早期興奮
  • d. 側壁誘導の虚血性ST変化
  • e. QT延長
解答と解説(クリックで開きます)

【解答】
c. 右前壁の心室早期興奮

【解説】
主要心電図所見
  • 1)洞調律
  • 2)PR間隔の短縮、QRS幅の増大、スラー状のデルタ波
  • 3)二次性のST-T変化

P波の変形はなく、正常洞調律であるが、PRの短縮、QRS幅の増大とデルタ波を認め、顕性WPW症候群と診断できる。デルタ波の極性はⅡ、Ⅲ、aVF誘導で陽性、V1誘導で±であり、Kent束局在は右前壁ないし前中隔を疑う。WPW症候群では、デルタ波が異常Q波様に見えることがあり、また心室の興奮様式異常による二次性ST-T変化を来すことがあるため、虚血性心疾患との鑑別が重要である。本例はV1誘導でr波減高、肢誘導とV4-6誘導でST-T変化を認めるが、WPW症候群の心室早期興奮による二次性変化と考えられる。再分極の異常はないため、一般にQT間隔は正常である。