〜 2010年2月 第1回 〜庭野慎一(北里大学医学部循環器内科)
Q.28歳女性。特記すべき病歴はない。突然胸部の不快を自覚し、30分安静にしても治まらないために病院を受診した。来院時の12誘導心電図を示す。 正しいのはどれか。
Q.28歳女性。特記すべき病歴はない。突然胸部の不快を自覚し、30分安静にしても治まらないために病院を受診した。来院時の12誘導心電図を示す。
心電図を見る(別ウィンドウ)正しいのはどれか。
【解答】
d. 房室副伝導路の関与を疑う
【解説】
主要心電図所見
心電図は正常QRS幅のRR間隔整の頻拍を呈している。RR間隔は10mm程度であり、心拍数は150/分程度、心室内伝導障害は存在しない。発作性上室頻拍に特徴的であり、心房頻拍、房室結節性回帰頻拍、房室回帰頻拍等を鑑別する必要がある。Ⅱ、Ⅲ、aVF、V5-6誘導でST-T低下を認め、下壁〜側壁の虚血を鑑別する必要があるが、多くは頻拍に伴う非特異的な変化である。P波は判別困難な場合も少なくないが、本症例ではQRS波の後(T波前半部分)に逆行P波を認める。房室副伝導路の関与する房室回帰頻拍と考えられ、心房、心室全てが関与するマクロリエントリーが機序である。