心電図クイズ

〜 2009年12月 第1回 〜新 博次(日本医科大学多摩永山病院循環器内科)

Q.87歳男性。高血圧で治療継続中。自覚症状に特記すべきものはない。
心電図所見から今後経過観察が必要と判断した。
心電図診断はどれか、該当するもの全て選びなさい。

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  • a. 陳旧性心筋梗塞
  • b. Ⅰ度房室ブロック
  • c. WPW症候群
  • d. 完全右脚ブロック
  • e. Brugada症候群
解答と解説(クリックで開きます)

【解答】
b. Ⅰ度房室ブロック、 d. 完全右脚ブロック

【解説】
主要心電図所見
  • 1)PR間隔延長
  • 2)幅の広いQRS(V1でM型、V5,6 でL型)

心電図はPR間隔が延長を示し、ORSは幅が広い。しかし、Pに対応したQRSが規則正しく出現している。すなわち、洞調律であるがPR間隔は延長しているが一定でありⅠ度房室ブロックと診断できる。幅の広いQRSはΔ波を有するためでなく、V1でM型、V5,6でL型であり、典型的な右脚ブロックを示す所見である。なお、Ⅲ、aVFでqとおぼしき陰性のふれをみるが、よくみるといずれの誘導にも point r を認める。この所見から心筋梗塞の存在は否定的である。