臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第5章
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2.心室頻拍ECG V027(V1、V2、V3誘導の同時記録)心拍数140/分前後の幅広いQRS波の頻拍が持続している。QRS波の形が心拍ごとに変形しているが、↓の部分に小さな尖った波(P1-P5)が見られる。これらの間隔を測ってみると、P2-P3及びP4-P5間隔はP1-P2間隔のちょうど2倍、P3-P4間隔は3倍になっていることが分かる。もう一度よく観察すると、↓の部分のQRS波の形が少し変形しており、ここにP波に相当する波があると判断される。すなわち、P波はおよそ0.76秒間隔で規則的に出現している可能性が高く、洞調律のP波と考えられる。心房と心室がそれぞれ独自のリズムで無関係に出現する房室解離(atrio-ventricular dissociation)の状態で、この房室解離の存在が心室頻拍であることを示す明確な所見となる。    429

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