臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第4章
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4.房室ブロックECG J033(12誘導を6誘導ずつ連続記録)完全房室ブロックの診断で他院から紹介来院した患者さんで、J016と同一例である。P波とQRS波をそれぞれ↑と↓で示す。先ず、PP間隔は不定で、強い洞性不整脈があるほか、一部は心房期外収縮かもしれない。RR間隔はほぼ一定で徐脈を呈していることから、一見完全房室ブロックのようであるが、正確に計測するとR1-R2は1.22秒、R2-R3は1.16秒、R3-R4は1.20秒、R4-R5は1.27秒、R5-R6は1.20秒、R6-R7は1.27秒、R7-R8は1.16秒で、決して一定ではない。RR間隔の比較的短いR3、R4、R6、R8はそれぞれ先行するP波から伝導している可能性が高いと判断される。一方、P2、P3、P5、P8、P10、P11、P13はQRS波を伴わず、R2、R5、R7は房室接合部補充収縮のようである。本例のように洞性不整徐脈を伴ったり、早いタイミングで補充収縮が出現すると判断が難しいが、第3度(完全)房室ブロックではなく第2度房室ブロックと診断すべきである。351

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