臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第4章
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4.房室ブロックECG J028(12誘導を6誘導ずつ記録)心拍数38/分の高度徐脈で、QRS波は幅広く右脚ブロック型、RR間隔は1.6秒で一定である。一方、↑で示すP波は、PP間隔0.6秒程度でこれもほぼ一定に出現しているようである。T波の微妙な変形から↑の部分にもP波があると判断される。しかしPR時間はばらばらで、1対1の対応がない。P波とQRS波はお互い無関係にそれぞれ独自のリズムで出現しており、完全房室解離の状態である。すなわち、第3度(完全)房室ブロックで心室補充調律を呈していると診断される。なお、完全房室ブロックの際の補充調律は通常房室接合部由来で心拍数40~50/分のことが多いが、本例のように40/分未満でQRS幅が広い場合には、伝導障害の範囲が広く房室接合部より下位の心室に起源を有すると判断される。    341

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