臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第4章
69/102

4.房室ブロックECG J021(12誘導を6誘導ずつ連続記録)P波は85/分前後でほぼ一定に出現しているが、QRS波が1拍おきに脱落している。伝導している心拍のPR時間は0.20秒前後で変動はなく、P波の二つに一つがQRS波を伴う2対1伝導と判断される。このような状態を、特に2対1房室ブロックと呼ぶ。2対1房室ブロックは、Wenckebach周期を伴わないことからMobitz II型と考えがちであるが、ほとんどの場合はMobitz I型が進行した状態で、Wenckebach周期の伝導比が5対4→4対3→3対2と進み、ついには2対1伝導になったものである。ペースメーカー植込み適応を考える場合などには、十分な考察が必要な所見である。なお、本症例では↓で示す3拍目のP波が変形しており、異所性P波と考えられるが、房室ブロックの評価としては大勢に影響はない。   327

元のページ  ../index.html#69

このブックを見る