臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第3章
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3.(異所性)心房頻拍ECG A029(V1、V2、V3誘導の一部を拡大)RR間隔は長短の周期A、Bを交互に繰り返す二段脈を呈している。一方、P波は↓で示すように約180/分の規則的な頻脈状態(異所性心房頻拍)にある。次に①→②→③と順を追ってP波とQRS波の関係を見ると、PR時間は①よりも②が長く、③ではP波の後QRS波が脱落しており、その後も①②③と同じ周期を繰り返しているのが分かる。すなわち、P波3個にQRS波2個の3対2伝導と考えられる。このように、伝導が徐々に延長した後、途絶する周期をWenckebach周期と呼ぶ。本例は、Wenckebach周期の房室ブロックを示す異所性心房頻拍(PAT with Block)と診断される。    161

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