臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第3章
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6.心房静止ECG A064(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVR、aVL、aVF同時記録)心拍数35/分程度の高度徐脈で、RR間隔は1.7~1.8秒と多少の変動があるものの、基線は平坦で洞性P波やF波などは明らかでない。そのため、A061、A063と同様の心房静止で、房室接合部補充調律を呈しているように見える。しかし、詳細に心電図を観察すると、↑で示すようにそれぞれのQRS波の直後に陰性の振れが見られる。房室接合部ないし心室補充収縮の興奮が逆行して心房を興奮させている逆行性のP波と考えられ、心房静止ではないと判断される。高カリウム血症(K 7.0)の90歳女性で記録された。患者背景から高度の洞徐脈ないし洞停止に伴う現象と考えるのが妥当であろう。  257

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