臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第1章・第2章
77/88

4.洞房ブロック・洞停止・洞不全症候群ECG S026(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の同時記録)QRS第4拍目まではRR間隔が不規則で、P波が明らかでなく、かつ基線が細かく不規則に揺れるf波を認めることから、心房細動(F)と考えられる(心房細動に関しては後で詳述する)。その後、約6.5秒にわたって信号が消失し(X)、E及びSの心拍が見られる。Eは先行するP波がないことから房室接合部補充収縮、Sは洞収縮である。つまり心房細動が自然停止した後、長い心停止をきたし、補充収縮で心拍が再開したと判断される。頻脈(多くは心房細動)が自然停止した直後に長い心停止(洞停止)をきたす病態は、洞結節に対するoverdrive suppression現象によると考えられる。特に本例のように長い心停止を伴う場合を徐脈頻脈症候群と呼び、やはり洞不全症候群(Rubenstein Ⅲ型)のカテゴリーに含まれる。   77

元のページ  ../index.html#77

このブックを見る