臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第1章・第2章
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第2章 洞結節性不整脈ECG S019(Ⅱ誘導の一部をさらに拡大)↓で示す洞収縮P1-P5のP波が出現するためには、その前に洞結節が興奮しなければならない。洞結節の興奮そのものは心電図には現れないので、●の部分で洞結節がS1-S7のように規則的に興奮していると仮定する。1拍目はS1-P1で伝導、2拍目はS2-P2と少し延長して伝導、S3ではついに伝導が途絶したと考える。S4では休憩後のため再び伝導が回復し、S4-P3と早く伝導する。また、S5-P4では伝導時間が延長し、S6では伝導が途絶する。これを繰り返すことによって、この二段脈が説明できる。このように伝導時間が徐々に延長し、ついには伝導が途絶し、その後また伝導が回復するという周期をWenckebach周期という。本例では、洞房間の伝導において3:2伝導のWenckebach周期を示す洞房ブロックが起こったと解釈される。Wenckebach周期は心房と心室の伝導(房室伝導)でよく観察されるが、心臓刺激伝導系の中の他の様々な部分でも起こる可能性がある。 60

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