臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第1章・第2章
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4.洞房ブロック・洞停止・洞不全症候群ECG S017(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の一部を拡大)洞収縮がP1からP5まで確認され、?の部分にもP波が隠れているように見える。P3と?の間隔は洞周期の約2倍で、○の部分で洞房ブロックが起こっていると推測される。 ここでP1-P5はPR間隔0.16秒の正常洞収縮であるが、?ではP波とQRS波がほぼ重なっている。つまりP波の後、QRS波が早めに出現したと判断される。この□で囲んだQRST波(E)はⅡ、Ⅲ誘導で見ると他の洞収縮心拍と比べてR波が増高し、T波がやや変形しているのが分かる。本来あるべき心拍が洞房ブロックのため欠落し、長い心停止が起こるのを防ぐため下位中枢の自動能が働いて補充収縮を発生したもので、P3のQRS波から約1.85秒後に房室接合部補充収縮が出現したと考えられる。   55

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