臨床心電図解析の実際 - 不整脈編 第1章・第2章
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1.洞不整脈ECG S007(Ⅲ、V1の後半部分を拡大)記録スピードが通常の半分で、心拍数38/分の規則的な高度の徐脈である。P波は約70/分でQRS波とは無関係に独自のリズムで出現しており、完全房室解離(この場合は完全房室ブロック)の状態にある。この点に関しては別項で詳しく説明する。ここで注目したいのはPP間隔である。↓の部分にP波があるが、PP間隔を順次見ていくと、▲で示すQRS波を挟むPP間隔(PPa)が、QRS波を挟まないPP間隔(PPb)より短いことに気付く。このように心室興奮(QRS)を挟むことによって洞結節の興奮周期(PP間隔)が短縮する現象を、心室相性洞不整脈と呼ぶ。P波とQRS波が重なる後半部分では、この現象は消失している。本例のように、完全房室ブロックの際にしばしば観察される興味深い現象である。  27

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