臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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66複雑な心電図の解析編ブロック-1 AnswerP1P2P3P4P5P6P7P8P9R1R2R3R4R5R6R7R8R9R10R11R12R13R14R15R16R17V1V2V3ⅠⅡ1.P波()はⅠ、aVL、V1誘導で陽性であることから洞結節由来と考えられ、PP間隔約1.04秒(心拍数58/分)前後でほぼ一定に出現している。2.QRS波()は、RR間隔0.52秒(心拍数115/分)前後で、やはり一定に出現している。3.RR間隔はPP間隔のちょうど1/2であり、交互に計測されるPR間隔(P1-R1、P2-R3、P3-R5、……)は約0.1秒で一定である。4.上記の所見から、奇数番号のQRS波に関しては、PR時間はやや短いが洞結節→房室結節→心室(P1→R1、P2→R3、P3→R5、P4→R7、P5→R9、……)と、房室伝導系を正常に伝導した心拍と考えてよさそうである。ただし、心室内伝導障害があり、QRSは右脚ブロック下方軸型で幅広い。5.次に偶数番号のR波はどのように考えられるであろうか。誰もが納得できるようなしっかりした根拠をもった説明はなかなか困難であるが、考えられる機序について、以下に記す。6.まずQRS波形に関しては、偶数拍と奇数拍の間に明らかな差はみられない。またRR間隔は0.52秒前後でほぼ一定である。奇数拍は洞結節→心房→房室接合部→心室と伝導した心拍であるから、偶数拍に関しても、少なくとも房室接合部以下は奇数拍と同じ経路で興奮していると判断される。7.では、なぜ偶数拍のR波にはP波が先行していない(心房が興奮していない)のであろうか。

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