臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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60複雑な心電図の解析編頻拍・頻脈-7 AnswerBABABABABABABABAV1V2V3ⅠⅡⅢ基線の鋸歯状波の形態からみて、通常型の心房粗動である。F波とQRS波との関係は3対1伝導で、一見RR間隔が一定のようにみえるが、よく観察すると、長短の周期A()、B()が交互に現れていることがわかる。このリズムはどのように考えられるだろうか。V5BBABA心房房室結節心室×××①②③④⑤⑥V5誘導の一部を拡大した。心房から心室への伝導は常に3対1を保ちながら、長短交互の周期()が現れる機序の説明はなかなか難しいが、房室結節の二重伝導路(dual pathway)を想定することによって、説明可能かもしれない。ラダーダイアグラムの房室結節の部分に点線で示すように、速伝導路(fast pathway)()との遅伝導路(slow pathway)()を想定し、それぞれの不応期を影で表すと、①、②、③の部分()で速伝導路にブロックが起こった際に、不応期から回復している遅伝導路への乗り換えが起こり、房室結節を通過する速度の差の分だけRR間隔が延長することが説明できそうである。一方、④、⑤、⑥()では不応期から脱した速伝導路を通過することによって、RR間隔が短縮すると考えることができる。

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