臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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40複雑な心電図の解析編異所性収縮-8 AnswerⅠⅡⅠ、Ⅱ誘導をみると、矢印()に示す右脚ブロック左軸偏位型の心室期外収縮が多発していた。なお、心室期外収縮の1拍前の心拍は先行洞収縮からの連結期が短く、一見心房期外収縮のようにもみえるが、P波の形態、PR間隔が洞収縮とまったく同一であることから、極端な洞不整脈と判断される。Ⅱ心房房室結節心室洞結節別途Ⅱ誘導を連続記録した際に心室期外収縮が3回出現しているが、その出現のパターンには、いずれも洞収縮が5拍続き、5拍目のPP間隔(RR間隔)が急激に短縮し、それに続いて心室期外収縮が発生するという規則性があるようにみえる。大変興味深い所見であるが、なぜこのようなリズムを呈するのか、必然性のある説明はなかなか困難である。自律神経系の変動に伴う交感神経緊張が規則的かつ周期的に起こっている状態で、極端な洞不整脈によって洞周期が短くなり、一時的に心室の異所性興奮性が高まるためなのかもしれないが、あくまで推測の域を脱しない。

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