臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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16複雑な心電図の解析編波形異常-6 AnswerⅠⅡⅡⅢaVRaVLaVFV1V2V3V4V5V6右室心尖部近傍に起源を有する心室期外収縮で、二段脈を呈している()。しばしば経験する心電図であるが、よくみるとⅡ、Ⅲ、aVF誘導においてP波とQRS波の間の平坦部が基線より低下していることに気がつく()。心房のT波(これをTa segmentという)といわれる心房筋の再分極を表す部分で、その著しい低下は心房筋の虚血性変化の可能性がある。ⅠⅡⅢaVRaVLaVFV1V2V3V4V5V61ヵ月後再来時の心電図では、心室期外収縮は消失し洞調律になっていたが、ほぼ全誘導にわたってTa segmentの著明な低下が確認される()。加えてPR間隔が300msec前後に著明に延長していることからも、心房から房室結節にかけての領域に何らかの虚血性変化が起こっている可能性を示唆する所見と考えられる。見逃しやすい所見であるため、注意して観察する必要がある。

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