臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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12複雑な心電図の解析編波形異常-4 AnswerABV1V2V3V4ⅠⅡⅢRR間隔(PP間隔)はそれぞれ多少の変動はあるが、短い周期のA()と長い周期のB()があり、7拍目あたりで突然切り替わっているようにみえる。いずれの心拍も正常P波が先行する洞収縮のようであるが、このリズムはどのように考えればよいのであろうか。V1V2V3V4ABB胸部誘導を長めに記録したところ、周期B()から突然周期A()に切り替わり、8拍後には再び周期Bに戻っているところが確認された。1.周期Aが基本調律と考える場合周期Aは洞周期で670msec(心拍数約90/分)、周期Bは洞房ブロックの可能性があるが、Bの周期は1150~1200msecで周期Aの2倍に満たないことから、この考えは否定的である。2.周期Bが基本調律と考える場合第5拍から第12拍までは心房期外収縮の7連発ということになるが、P波の形態は洞収縮と同じで、異所性収縮らしくない点が矛盾する。3.極端な洞性不整脈であると考える場合周期Aも周期Bもいずれも洞収縮で、周期の変動は単なる洞性不整脈であると考えることもできる。典型的な呼吸性不整脈の場合は、周期変動は呼吸に合わせてゆっくりと起こることが多く、本例のように瞬間的に切り替わる例はあまりみたことがないが、この考えが最も確からしいかもしれない。

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