臨床心電図解析の実際 - 複雑な心電図の解析編
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10複雑な心電図の解析編波形異常-3 AnswerⅠⅡⅢaVRaVLaVFV1V2V3V4V5V6R1R2R3R4R5R6R1R2R3R4R5R6R1からR6まで6個のQRS波がみられるが、RR間隔は不整でP波がないことから、基本リズムは心房細動であると診断される。R1~R4およびR6はQRS幅が広く、胸部誘導の形態から完全左脚ブロックを呈していることがわかる()。唯一、R5のみはQRS幅が狭く、正常QRS波形であるが、T波が陰転しており()、先行RR間隔(R4-R5)が突然長いのが特徴である()。すなわち、R5では先行RR間隔が長いため、興奮が心室に達したときには左脚が不応期を脱しており、左脚ブロックが解消して正常QRS波形を呈したと考えられる。言い換えれば、左脚ブロックは“完全”ではなく“不完全”であるということになる。またT波が陰転しているのは、左脚ブロック状態が長く続いているためのcardiac memoryと呼ばれる現象の可能性がある。

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