第9章|臨床心電図解析の実際 - 不整脈関連波形異常編
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24重症不整脈に直結する波形異常編BBB-9 AnswerⅠⅡⅢaVRaVLaVFV1V2V3V4V5V6完全右脚ブロックで()強い右軸偏位を伴っており()、PR時間も延長していることから、通常は三枝ブロックと考えるところであるが、RR間隔は長短を繰り返す2段脈を呈している()。これはどのように考えたらよいのであろうか。V1V2一部の誘導を拡大してみると、PR間隔は《漸次延長()~脱落(×)》という周期を3拍ごとに繰り返していることがわかる。すなわち、3対2伝導のWenckebach周期を示す第2度房室ブロックと診断される。通常、三枝ブロックでは、右脚ブロック+左脚後枝ブロックで左脚前枝にも伝導障害がある場合、あるいは右脚ブロック+左脚前枝ブロックで左脚後枝にも伝導障害がある場合が想定される。しかし、本例のように典型的なWenckebach周期が観察される場合には、第3の伝導障害は房室結節で起こっている可能性が高いことから、三枝ブロックとは異なる病態と考えるべきかもしれない。

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